5分で理解できる金融危機のメカニズム

金融危機 メカニズム

金融危機の定義は、あいまいです。

景気の悪化などから金融不安が増大し、金融機関の経営悪化や倒産、信用逼迫(ひっぱく)(クレジットクランチ)、企業の連鎖倒産、取り付け騒ぎなどが起こり、株価の下落・低迷、失業率の増加などを伴って金融恐慌に近い危機的な状況になること。2007年、米国のサブプライムローンの信用力低下によって起こった世界同時不況など。

【出典:デジタル大辞泉

金融危機の定義はあいまいですが、今回説明する『金融危機』とは『企業の大量倒産、労働者の大量失業が発生し、国家からの援助に頼らざるを得ない状況』として話を進めます。

ではなぜ?企業の大量倒産、大量失業が発生するのでしょうか?

答えはシンプルです。ズバリ「お金が企業や労働者に回らなくなるから。」です。

ではなぜ?お金が企業や労働者に回らなくなるのでしょうか?本記事はその疑問から話をスタートさせたいと思います。

起業家と銀行

経済活動は、労働者(消費者)、起業家(企業)、銀行、国家権力(中央銀行)などが密接に関係することで成り立っています。

具体的にはこんな具合です↓↓↓↓

労働者には雇い主である起業家が必要であり、起業家にとっては働き手である労働者の存在は欠かせません。

また起業家にはお金を貸してくれる銀行が必要であり、銀行にとってはお金を借りてくれる起業家は大切な存在です。

さらに銀行にとってはいざという時に助けてくれる国家は必要不可欠な存在ですし、国家にとってもお金を民間に循環させる銀行は必要な存在です。

以上のように、労働者、起業家、銀行、国家は密接にかかわっているのですが、今回は説明をわかりやすくするために「起業家」と「銀行」というプレーヤーを中心に解説したいと思います。

起業家とは?

起業家は『冒険者』のような存在です。そして冒険者として未来を予想する能力が求められます。つまりはこういうことです↓↓↓↓

起業家がビジネスを大きくしようとするとき、必ず「資金」が必要になります。ですからビジネスを大きくしようという野望が大きければ大きいほど、親戚や仲間から出資を募るだけでは足りず、銀行に頼ることになります。

起業家は銀行からお金を借りるときに、頭の中でソロバンをはじきます。「こういうビジネスモデルだと、いくらぐらい稼げるはず。」と。

もちろんビジネスをはじめる以上は「利益」を出すことが前提条件になります。利益が出せなければ、借金の元本や利子だけでなく、従業員の給料も支払えなくなるからです。

つまり起業家は「将来の利益予想に基づいて、将来の自分に借金の支払いを約束させる。」存在なわけですから、もし起業家が借金を返済できない状況に追い込まれるのであれば、、、、、起業家を騙したのはまぎれもなく「過去の起業家」本人だということです。

銀行とは?

銀行は『ツアーガイド』のような存在です。起業家の事業計画をリスク評価して、いくら出資するか?を決断し、実行するのが銀行の役割の一つです。

おそらくあなたは「そんなこと知っているよ!」と思ったことでしょう。銀行の役割はとてもシンプルなので、誰もが理解していると思い込んでいます。

しかし銀行がお金を貸し出すまでのプロセスを本当の意味で理解している人は実は少数なので、少し補足しておきます。

『銀行がお金を貸し出す』という表現は、「銀行が銀行のお金を貸し出す」という意味だとほとんどの人は理解していると思います。

だからこそ多くの人が、「銀行がどこかに大切に保管している銀行のお金を貸してくれるのだ。だから借りたお金は返さなければいけない。」と信じているのです。

しかし実際のところ銀行は「無からお金を生み出している」のです。借用証書を担保として、無からお金を創り出す錬金術は銀行の特権であり、教科書には「信用創造」として説明されていることでもあります。

「無からお金を生み出す」という表現がよくわからないという方も多いと思いますが、具体的には「システムで管理している預金者の銀行口座の数字を増やす」ということをやっています。

つまり起業家が銀行に融資をお願いすると、銀行は起業家に自社の銀行口座を開設させて、その銀行口座に貸し出す金額分の数字を印字するのです。

繰り返しになりますが、つまり銀行が起業家にお金を貸すとき、どこかにあるお金を起業家に貸すのではなく、無からお金を生み出しているのです。(信用創造)

歯車が壊れる理由

起業家が過去の自分のはじいたソロバン通りの利益を確保できるのであれば、何も問題は発生しません。

起業家は十分な利益を確保し、その利益は借金返済の原資になるだけでなく、起業家の生活資金にもなります。

一方の銀行は、無から生み出したはずのお金だけでなくその元本の利子まで返済してもらえるのですから、これほど嬉しいことはありません。

問題は、起業家が過去の自分に騙されて十分な利益を確保できなかった時に発生します。

もちろん小さな会社が1社破綻したぐらいであれば、社会にそれほど大きな悪影響は発生しません。しかし借金を返済できない企業が10社、100社と増えてくると問題は深刻になっていきます。

企業が破綻するということは、それまで企業が予定していた投資がすべて頓挫するということです。また破綻企業と取引のあった企業はなんらかの形で悪影響を受けますし、最悪の場合「連鎖倒産」するかもしれません。

また企業が破綻するということは、労働者が無職になるということであり、当然ながら労働者は消費をしなくなります。労働者が消費をしなくなると、倒産した企業と直接的に関係のない企業の売上にまで悪影響がでてきてしまうことは想像に難くありません。

以上のようにして、大量倒産、大量失業は現実のものとなってしまうのです。

金融危機をもたらしたのは「起業家(企業)」でしょうか?もちろんそういう見方もできます。すべての企業が成長し続けていたら、大量倒産、大量失業は実現されなかったわけですから。

しかしとばっちりを受けた企業は「起業家(企業)が悪い!!」という主張には反対して、こう主張するでしょう。「そもそも銀行が大量倒産、大量失業を引き起こすほどの大金を起業家に貸し出したことが諸悪の根源なのでは?」と。

あなたは「起業家(企業)」が悪いと思いますか?それとも「銀行」が悪いと思いますか?

あくまで個人的な意見ですが、どちらかが100%悪いということはないと思います。労働者、起業家、銀行、国家権力それぞれの立場でそれぞれの主張があると思います。

とはいえ、金融危機が起きた時に、よりリスクを負うのは労働者や起業家であって銀行や国家ではないという点は知っておくべきでしょう。

不良債権という嘘

日本のバブル崩壊で「不良債権」という言葉を耳にタコができるほど聞いたという人は多いでしょうが、冷静になって考えてみれば「不良債権」という言葉は不思議な言葉なのです。

銀行の帳簿上において、銀行が「貸した」お金は「資産」になっており、借金返済が滞ることでその資産がなくなるとしたら、そのことは一見すると大問題です。

しかしここで銀行がお金を無から生み出したという話を思い出してください。銀行は借用証書を受け取るかわりに、お金を無から生み出したのでした。

さて、銀行は『貸した』お金を回収できなかったことで困ることがあるのでしょうか?

勘のいい方であれば、無から生み出したお金で「金利」を受け取っている時点で、銀行が損をするということは「ほぼない」ということはすぐにわかると思います。

もちろん銀行は、帳簿上も不良債権に苦しめられないようにさまざまな工夫をしています。

例えば、たくさんの債権を組み合わせて小口にして「金融商品」として投資家に売り出しています。つまり不良債権化しても損するのは銀行ではなく、小口化された債権を購入した投資家になるようにビジネスが設計されているのです。

しかしあなたは「何かがオカシイ」と思ってモヤモヤしているはずです。そのモヤモヤを代弁するなら、おそらく「リスクが目の前から消えたように錯覚するが、リスクはなくなっていないのでしょ?」という質問に集約されるでしょう。

答えは「正解!」です。(リスクを分散することはできても、リスクをゼロにすることはできない。)

アホでもわかるリーマンショック

皮肉なことにかの有名なリーマンショックが、金融取引のプロにですら『災害』ように感じられたのは、「リスクが目の前から消えたように錯覚した」ことが原因だったのです。

少しだけ脱線してリーマンショックのカラクリをさらっと説明します。

ある銀行Aは、債権(住宅ローン)を小口化して「金融商品A」として売り出しました。問題はここで債権が金融商品になるプロセスが終わらなかったことです。

金融商品Aはその他の債権などと組み合わされて金融商品Bとなり、

金融商品Bはその他の債権などと組み合わされて金融商品Cとなり、、(以下同様なプロセスが続く)

金融商品Yはその他の債権などと組み合わされて金融商品Zになったのです。

金融商品Zになった段階で、金融商品Zは(大多数の)金融のプロにとっても「中身がよくわからない金融商品」になっていたのです。

問題はここからです。

銀行Aは自らのリスクを軽減するために小口化して販売して投資家に売り出したはずの「金融商品A」が含まれる「金融商品Z」を購入してしまっていたのに、そのことを十分に自覚していなかったのです。

結果、「金融商品A」が不良債権になった時、金融のプロである当事者ですら「どれほどの影響があるかわからない。」という、嘘のような本当の話が現実のものになってしまったのでした。

返済できないお金を借りた起業家(企業)が愚かだったのか?それとも起業家(企業)が返済できないお金を貸し出した銀行が愚かだったのか?

という議論は本記事ではこれ以上深く掘り下げることはしません。大事なことは「わたしたちの生活にどう活かすか?」だと思いますので、本記事では最後に教訓になるような話をしておきます。

教訓

本記事では、「起業家」と「銀行」というプレーヤーに着目しましたが、あなたにも「起業家」の側面があると思います。(たとえあなたがサラリーマンでも専業主婦でも。)

例えばマイホームを購入するために銀行から住宅ローンを組む時、「わたしなら返せるはず。」という確信があるからこそ、お金を借りるのだと思います。

住宅ローンを組んだことがない人であれば、「クレジットカード分割でショッピング」するときのことを思い浮かべてください。

住宅ローンにせよ、クレジットの分割決済にせよ、「将来、元本に金利を上乗せして返済できる。」と予想するからお金を借りるのだと思います。

しかし残念ながら、(あくまでわたしの経験上)、お金に困っている人ほど「本当に将来、元本に金利を上乗せして返済できるのか?」と立ち止まって考えるということをしません。

お金に困ってばかりの人の思考回路は、「欲しいから買う」、それだけなのです。

もしあなたが「お金が貯まらない」という悩みを抱えているのであれば、「欲しいから買う」、という借金地獄への回路を完全に封鎖しなければいけません。

封鎖するためのアドバイスはズバリ「立ち止まって考えろ」ということです。

実はわたしにも、お金を浪費してばかりで借金にドップリ漬かっていた時代があったのですが、「立ち止まって考える」ということでかなり改善しました。

具体的には、一定以上の金額の買い物をするためには、「1週間考える時間」をルールとして設定したのです。もし1週間後まで「欲しい」という気持ちが継続するのであれば、真剣に購入するべきか検討することにしたのです。

実践してみてびっくりしたのですが、わたしが「欲しい」と思った商品の多くは、1週間経過しただけで、欲しいと思っていたことすら忘れるものばかりでした。

借金をするときだけでなく、起業するために借金する時だって、すでにあなたは冷静ではありません。冷静さを失って、おそらく自分の実力を2倍、3倍に過大評価している可能性が高いです。

RICHになりたかったら「頭を冷やす」ことを是非とも実践するようにしてください。