なぜ?企業は利益を追求するのか?

なぜ?企業は利益を追求するのか?

なぜ?企業は利益するのでしょうか?

営業マンであれば「予算達成」は至上命題でしょうし、経営者であれば利益がないと「あたかも価値がない人間」であるかのような錯覚に陥っているかもしれません。

あなたももしかしたら「勝ち組・負け組」という言葉に代表されるように、収入や資産を他人と比べて劣等感に苦しんだり、逆に優越感に浸っているかもしれません。

学校では「お金はモノの価値を測るモノサシであり、価値を保存したり、交換する道具である。」と教わったはずですが、不思議なことにわたしたちはお金を「それ以上の存在」として認識しているのです。

いつから人間はお金を獲得することを、何かを達成するための手段というよりはむしろ、目的そのものにしてしまったのでしょうか?

今回は、人間が利益を追及するようになった経緯について解説したいと思います。

大転換

あなたは驚くかもしれませんが、人類の歴史の中でみれば「利益第一主義」を貫くようになったのは最近のことなのです。

中世(生産 ⇒ 分配)

中世の時代までの「生産とお金の流れ」は、以下のようになっていました。

生産とお金の流れ
  1. 生産
  2. 分配
  3. 債権・債務

もう少し具体的に説明しましょう。

中世の時代、領主さまの土地には「農奴」(のうど)という身分階級が暮らしていて、土地を耕し作物をつくっていました。(生産)

農奴とは?

農奴とは「奴隷」ではありません。奴隷は「商品」として扱われましたが、農奴は売り物ではなく「土地」に縛り付けられた存在でした。

領主は、農奴がつくった作物を年貢として納めさせました。(分配)

そして領主は、自分たちが消費しない余剰分の作物を売買することでお金を稼いだり、稼いだお金でモノを売買したり、お金を第三者に貸したりしました。(債権・債務)

以上で説明した「生産とお金の流れ」において、お金はあくまでも「作物の余剰」が姿を変えたものでした。お金があれば領主さまは喜んだでしょうが、「お金を稼がなければいけない」理由はなかったのです。

しかし「生産とお金の流れ」を根底から変える「大転換」が起きた結果、利益を追求することが当たり前になったのです。

大航海時代(分配 ⇒ 生産)

大航海がはじまってからしばらくして、「生産してから分配する」という流れが逆転し、「分配してから生産する」になるのですが、その大転換をもたらしたきっかけは「借金」でした。

大転換が発生するまでのいきさつを、かみ砕いて説明します。

大航海の時代、ヨーロッパの商人たちはイングランドやスコットランドで羊毛を船積みし、インドで香辛料を手に入れて戻ってくることで大きな利益を得ていました。

イングランドやスコットランドの領主たちは、社会的地位の低い商人や船乗りがお金持ちになる状況に憤慨しながらも、こう思いました。「アイツらの商売にのったほうがオイシイんじゃないか?」と。

領主がやったことは残酷でした。なんと先祖代々同じ土地で暮らしていた「農奴」を無理矢理暴力的な手段で追い出したのです。なぜならば、農奴に畑を耕してもらうよりも羊を飼ったほうが儲かるからです。

先祖代々からの土地と仕事を奪われた大量の農奴は、生きていくために働くしかありませんでした。つまりこの時はじめて農奴の労働力が「商品」になったのです。

しばらくすると領主はあることに気づきました。「自分たちで羊を飼って、羊毛を生産するよりも、誰かに土地を貸し出して賃料を請求したほうが賢いんじゃないか?」と。

もちろん土地を借りて羊を育てるのは「農奴」です。農奴といってもチャレンジ精神あふれる農奴である必要がありました。

農奴には工場で昼夜問わず働くという選択肢もありました。工場で働けば、過酷な労働に耐えさえすればホームレスになることはありませんし、家族を養うこともできます。

しかしだからといって領主の土地を借りて、起業家になるという選択肢はリスクが高いのです。なぜならば事業を起こすためには先立つ資金、つまり借金を背負う必要があったからです。

そしてここからが面白いところなのですが、誰かが誰かから借金するという時、その分配は借金する時点で決まっているのです。

例えばあなたが住宅ローンを借りる時、そのお金の使い道はすでに決まっているはずです。同様に当時の農奴が借金をして起業するときも、お金の使い道(道具代、地代等)は、借金した時点で決まっていたのです。

しかし唯一決まっていない決まっていないものがありました。それは「起業家が受け取るお金」です。

しばしば起業家は「タイムトラベラー」だと表現されますが、あながちまちがってはいません。なぜならば起業家が借金するときはいつも必ず起業家の「将来いくらぐらい稼げるはず」という予想が重要になってくるからです。

利益追求が生き残りの条件

もうここまで説明すれば、企業が利益を追及するその理由がわかるはずです。

企業が利益を追求するようになった理由はシンプルです。借金に押しつぶされないためです。

あなたは農奴は?起業家か?領主か?

自分の境遇を農奴に重ねた人も多いのではないでしょうか?

就職した企業で一生働く覚悟をもっている正社員は、中世の時代の「農奴」のようなものです。領主さま(会社)がいくら偉いといっても、会社の都合で正社員をクビにするのは難しいからです。

しかし日本でも「非正規社員」という契約形態が誕生したことによって低賃金に甘んじている人が急増しています。

現代の非正規雇用者はさながら元・農奴のようです。(すでに説明したように、農奴はお金に目がくらんだ領主さまに土地を追い出されて、工場での過酷な労働に追いやられた。)

農奴として生きるのか?起業家として生きるのか?領主さまを目指すのか?はあなた次第です。

どの道を選ぶのが正解か?という質問に対する唯一の正解はありません。正解はあなたが決めることです。

とはいえ、どの道を選ぶにしてもイバラの道があなたを待ち受けているでしょう。

労働者の道を選ぶなら、低賃金で長時間働くか、それが嫌なら「あなたの替わりになる人材はいない」というところまで実力を高めなければいけません。

起業家の道を選ぶなら、世の中にありそうでなかった高付加価値を生み出さなければ、これからの時代生き抜いていけないでしょう。

領主(国家権力)の道を選べば、一生安泰というわけでもありません。労働者や起業家の競争力が衰えれば、国家も衰退するからです。変化の激しい時代になりましたから、今後はより一層難しい判断をせまられるでしょう。

唯一のアドバイス

「どうすれば幸せになれるの?」と不安になってしまったあなたに一つだけアドバイスするなら「お金にふりまわされるな。」ということです。

農奴の労働力が「非売品」から「商品」になったように、現代はあらゆる「非売品」が「商品」になっています。

例えば「ちょっとマクドナルドでお昼買ってきて!」というような「おつかい」まで「商品」(例:UBER EATS)になっていますし、二酸化炭素の排出権まで商品になっています。

おそらくこれからも「非売品」が「商品」になる流れは止まらないでしょう。

しかし冷静になって考えてみてほしいのです。「非売品」が「商品」になり、その商品をお金で買うことができるようになったとして、、、、わたしたちは幸せになれるのか?ということを。

市場で購入できるあらゆるものを片っ端から購入していけば、わたしたちは本当に幸せになれるのでしょうか?

残念ながらその可能性は低いでしょう。世間から注目されて何不自由のない生活をしているはずなのに、うつ病になってしまったり、世間の期待というプレッシャーに押しつぶされて犯罪に走った結果、逮捕されてしまう成功者もいるではありませんか。

お金がほしいならお金を手に入れてください。しかしお金を手に入れることを目的にして、お金を手に入れただけで満足しないでください。

かのギリシャの哲学者ソクラテスは『その富をどのように使うかわかるまでほめてはいけない。』という名言を残しました。

お金は道具です。道具である以上、「どう使うか?」が大事なのです。

あなたはお金がほしいですか?お金がほしい場合、お金を稼いだら何を購入しますか?

あなたが購入したいと望むその何かを購入した結果、逆にモヤモヤしてしまったり、満たされない気持ちになることはありませんか?

本当に数多くの人が「これを購入したら幸せになれる。」という幻想を購入した結果、逆にストレスを抱えるという奇妙な状況に苦しんでいます。

心当りがある人は、「幸せはお金で買えるはず。」という信念を疑ってみてはいかがでしょうか?